長火鉢　玉杢

戦後の農地改革までは大地主で、代々名主をされてこられたお家の由緒正しきお品です。
見れば見るほど、抱きしめたくなるような美しい杉の木目が際立った長火鉢です。
欅や桐材、稀に黒柿材などの長火鉢はよく見られますが、杉材で作られた長火鉢はたいへん珍しいのです。
こちらのお品は極めて樹齢の長い、しかも杉材にはたいへん珍しい玉杢の無垢材を贅沢に使って、杉材の持つ変化に富んだ美しさを、余すところなく見せています。
そしてまた、火鉢の枠と取っ手は黒柿を使っており、取っ手の方には黒柿の中でも数万本に1本しか出ないと云われている、たいへん貴重な小豆杢（孔雀杢）が使われています。
さらに、引き出しの内部は杢目がきれいな杉の正目材を使用し、鉄釘ではなく竹釘で仕立てられいます。
見えない所まで最高の良材と優れた技が生かされています。
大きさを一般の長火鉢より一回り小さくし、どこから見ても上品な姿としております。
正に注文主の好み応じた極上の一品と察する事ができます。
製作された年代などは分かりませんが、長い年月を経て来たお品です。

長年にわたり代々、製材業を営んでこられた方にご覧いただきました。
この方の製材所では、150年以上前から地元産材や各地方の杉材の加工をして来られたとの事でしたが、76歳になられたこの方自身も、このような杉の玉杢を見たのは初めてだと申されておりました。

杉は特段に節抜けが出やすい木材です。
くどいと思われそうですが、このような美しい杉の玉杢はめったにお目にはかかれません。
拙い写真ではありますが、存分にご覧になってください。

約630mmX約335mm
高さ　約260mm
主な素材...木

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